海のトピックス

各項目をクリックすると詳細が開きます。

第1話:海藻にちなんだ地名

海藻にちなんだ地名を調べてみました。

(1)ノリ:なかなか無い。函館空港の近くに志海苔という所がありますが、その他は余りありません。アイヌ語からの地名でしょうが、赤い海藻を何でも○○海苔と称しますので、板のりの海苔かどうかではありません。

(2)ワカメ:漢字では若布、若芽、和布とかかれます。若布、若芽はありませんでしたが、和布は福井市と兵庫県西脇市にありました。でも残念ながら「ワカメ」とは呼ばず。それぞれ「めら」「わぶ」とよぶので海藻とは関係がなさそうです。ちなみに下関と福岡に「めかり神社」がありますが地名とはなっていないようです。

(3)ヒジキ:漢字では何とかくやら(中国語では羊栖菜ですが)。当然、しらべられませんでした。

(4)コンブ:北海道の釧路近くに昆布森という地区があります。根室市にも昆布盛という所があります。ここでは文字通り、日本一生産量の多い、ナガコンブがたくさんあります。一方、函館本線(函館~札幌)の途中のスキーで有名なニセコの隣りに昆布という駅があります。ここは浜辺ではなく比較的内陸です。でもやはり北海道にはどこでも昆布と接した生活があったものと思われます。さらに京都市に昆布屋町、沖縄の具志川市に昆布という街があります。さすが、日本有数の昆布消費地です。

第2話:毒藻

キノコや陸上植物では毒草、毒キノコというのがあります。食べるとおなかを壊したり、笑いが止まらなくなったりとたまに新聞で見かけます。では、海藻では毒のあるものはあるのでしょうか。

毒キノコや毒草では神経毒などの毒素タンパクが中毒の原因になる場合が多いのですが、海藻の場合には毒素タンパクを持ったものはほとんどありません。しかし非常にまれに海藻を食べて、食中毒がおこる場合があります。一番多いのはオゴノリを食べて、食中毒になる場合です。しかし、これはオゴノリ自体に毒があるのではなく、表面についたプランクトンが原因です。5年に1回くらい、海辺の人で生のオゴノリを食べた人が食中毒になったという報道があります。しかし現在、私達が食べるオゴノリは生はなく、熱を通し、塩蔵したり、乾燥したものしか食べません(商品がありません)。だから安心してください。

その他、マクリという紅藻で下痢がおこります。でもこれは昔から、虫下しの薬として役立ててきたものです。

旨い、不味いはありますが、海藻はほとんど食用可能です。でも本当のサバイバルの時以外はちゃんと洗ったり、熱を通すなりして衛生的なものを食べましょう。

第3話:イデユコゴメ

山奥の温泉に行って、温泉の湧き出るところの周りに緑色のコケのようなものが生えているのを見たことがありませんか?これはコケではなくイデユコゴメという藻類(海ではないので海藻ではありません)です。人間なら茹でダコになってしまうような温泉のなかでもガッチリ生きています。出湯(いでゆ)の里ならではの藻類ですね。

第4話:シーグラス

最近、はやっているんですよ、シーグラス。海に落ちたガラスのカケラが波でもまれ、角が取れ、また岩などにぶつかって、表面が傷ついて、白い糸が張り巡らされたようなグラスが。特に色のついたシーグラスは切子細工のようです。インテリアとして癒し効果もあるかも。嵐の後の砂浜を探せば、見つかるかもしれません。自然が作った、人工の芸術です。でもシーグラスを作るからと言って、ガラス瓶を海に捨ててはいけません。シーグラスとなってあなたの元に戻ってくることはあり得ないし、そのときにはあなたは生きていないでしょう。

ちなみにシーグラスは Sea glass であって、Sea grass (海の芝=海草)ではありませんのであしからず。

第5話:ウミウシとアメフラシ

あまり実物を見たことある人は多くないと思いますが、海の浅い岩場をのしのし(ゆらゆら?)と動く得体の知れない物というイメージですよね。全くその通りで本当に得体の知れない動物なんです。ウミウシは殻を外れたカタツムリのお化けのようにツノみたいなものがあります。アメフラシは梅雨時になると、深場から水面近くに上がってよく見られるようになるため、その名がつきました。どちらもブヨブヨして軟体動物のようですが、その通り軟体動物なのです。でも軟体動物でもイカ・タコの仲間ではなく、なんとアワビやサザエの巻貝の仲間なんです。ウミウシやアメフラシの背中の部分(どこだかよく分かりませんが)の中には薄っぺらいが、退化した貝殻の痕跡のような板状殻を持っています。

この殻はたぶん何の役にもたたないのですが(たぶん)、先祖の紋章としてなくさずに持っているのでしょうね。この仲間は個体の片端が♂で反対端が♀です。自分の♂と♀を合体させることは出来ませんが、数匹がまるで乾電池をつなぐように、凸と凹が繋がって、わっかを形成して集団合体することがあります。まだまだ不思議な海の物語でした。

第6話:海の指紋

人間を識別する場合、最近は目の虹彩などを使って、銀行などのパスワード代りにするところもあるようですが、昔から使われているのは指紋です。世界中には同じ指紋の人間が3名いるという説もありますが、まずは世界中でたった1つのオンリーワンだと思います。

魚でもそのような指紋(魚の指はどこにあるという指摘をすぐ喰らいそうですが)に近いオンリーワンなものがあります。皆さんがよく見るのはサバの背中、青い皮膚の上の黒い斑紋です。あれは同じものがないそうで、私なぞ学生時代に水槽中の20匹のサバの背中の紋を見極め、1匹ごと識別するという実験をやらされたことを思い出します(注:大学の水産の実習でです)。サバは非常に素早い魚ですので、あ、あーっと言っている間に眼中からいなくなってしまいます。サバも斑紋で相手を認識して泳ぐ道を空けてやったりしているのでしょうか?それじゃあ、サバの場合には背中にあるだけに指紋じゃなくてクリカラモン紋になってしまいますね。

第7話:SARS海藻の日本侵入を阻止しよう

知っている人いるかもしれませんが、今地中海の海底は大変なことになっています。キラー海藻と呼ばれているイチイヅタ変異種が海底を覆い尽くし、魚が棲まなくなっています。このイチイヅタ変異種(通常のイチイヅタから突然変異したもの)は微量ながら毒性のある分泌物をだすため、周りにプランクトンなどがいなくなってしまいます。それを餌とする、動物が次々といなくなってしまうわけです。またこの海藻は非常に繁殖力が強く、少量でも生息するとあっという間に他の海藻を駆逐してしまいます。

本来、イチイヅタはイワヅタ(海ぶどうなどもこの仲間)類の1種の緑色の海藻で、日本でも南の海でたまに見られます。非常に緑色が鮮やかで、あまり手間がかからないので、約100年前から水族館で水槽の海藻として持てはやされ、次々のヨーロッパ各地の水族館に分譲されました。転々としている間にいつしか突然変異を起こし、1984年モナコ海洋博物館から流出したらしく、排水口付近で初めて発見されました。当時はわずか1m2にすぎなかったものが、1990年には3ha、1994年には1,500ha、2000年にはなんと10,000haまで拡大し、東はギリシャから南はチュニジア、西はスペインまでの地中海沿岸を覆い尽くす勢いで、アメリカやオーストラリアでも見つかっています。

日本ではまだ見つかっていませんが、通常のイチイヅタは亜熱帯に生息しており、変異種は摂氏10℃以上ならば生息可能ですので、太平洋側なら房総半島以南、日本海側なら佐渡以南なら生息する可能性があります。またその他、ペットショップや水族館などからの侵入の可能性もあります。日本の海藻研究者が中心となって、NPOの「イチイヅタ侵入防止プロジェクト」を設立し、侵入してないか監視を続けています。

第8話:海の測量に関する素朴な疑問2題

日頃思っていた海に関する疑問2題に関して、調べてみました(国土地理院の担当者の方懇切丁寧な回答ありがとうございました)。

1 海と川の境はどこなの?

基本的に河口などで海と川の境は無いそうです。私は初め、塩分が何%以上になったところから海などという決まりがあるのかなと思いましたが(満潮と干潮では海の面積が変わるなとも考えましたが)、専門家に聞きましたところ、そういう境目はないそうです。でも国土地理院のほうでは便宜的に河口の川岸の両端を結んだ線が一応の境としているそうです。まずはメデタシ、メデタシ。

2 海抜の基準はどこ?

山の高さで海抜何mというのがありますが、では海抜0mという基準はどこなのかなー?

国土地理院のホームページ(http://vldb.gsi.go.jp)にも載っていますが、明治時代の初年に東京湾の数箇所で平均海面を測定しました(これも海の干満があるので、同時に一斉に測ったのでしょうね)。これを海抜0m0cmとし、海には印はつけられませんので、これより24.4140mの高さのところを日本水準原点と1891年(明治24年)に定められたそうです。現在もこの日本水準原点(東京の永田町の国会の前庭にあるそうです)を基準に、日本各所の道路沿いに標高何mという水準点が設けられました。我々の身近な建物もこの水準点から測量して建てられているのでしょう。

海の高さも干潮、満潮で絶えず変動していますので、連続的に観測(験潮というのだそうです)しています。船に乗って揺られているときも海抜何m何cmと絶えず考えていれば楽しいかも?(・・・すぐ酔ってゲロゲロになりそう)。。

第9話:海に関する記念日

7月20日が海の記念日であることは皆さんご承知ですね(今年は19日でしたけど)。何故この日が海の記念日に指定されたか知ってますか?これは明治天皇が東北行幸(視察旅行)された時に帰りは明治丸という船で東京にお帰りになったそうで、その明治丸に乗られた日が7月20日だったという訳。その他にも色々海に関する記念日とその由来を調べてみました。

<海藻編>
■わかめの日(5月5日:子供の日)
わかめを食べてすくすくという願いから。
■ひじきの日(9月15日:敬老の日)
ミネラルたっぷりのひじきで長生きを!
■昆布の日(11月15日:七五三)
昆布で丈夫な子供に。
■海苔の日(2月6日:大宝律令施行の日)
大宝律令には税金として海苔などを納めることが記されていたとか。
■あらめの日(7月20日)
海の日から。
■まりもの日(3月29日)
特別天然記念物に制定された日。

<魚編>
■イワシの日(10月4日)
104(イワシ)語呂合わせから。
■ たこの日(8月8日)
8本足から(広島県三原市制定)
■まぐろの日(10月10日)
万葉集(?)で山部赤人が明石でまぐろの収穫を歌に詠んだ日。
■ふぐの日(2月9日)
ふぐは地方によりふく(29)と呼ぶ。
■ さけの日(11月11日)
鮭の漢字の右側(圭)を分解すると十一十一になる。
■さんまの日(9月30日)
■あじの日(6月3日)
■かつおの日(3月20日)
これらの由来はよくわかりません。ごめんなさい。

<その他編>
■塩の日(1月11日)
上杉謙信が武田信玄に塩を送った日。
■珊瑚の日(3月5日)
語呂合わせそのまま。
■しじみの日
豊川では9月28日ですが瀬田川では4月23日でした。
■かにの日(6月22日)
カニ座の最初の日。
■波の日(7月3日)
語呂合わせ。サーフィン関連会社が制定。

<私の創作編>
■大トロ寿司の日(2月29日)
4年に1ぺんしか食べられない(いや10年に1回か)。

おそまつ

第10話:わかめ養殖の豆知識・遺伝要因と環境要因

人間の成長を特徴付けるものは、生まれつき(遺伝子)と食べ物(環境)です。双子でも、食べ物が極端に違えば、身長や体重に大きな違いが出る場合はありますが、顔の形などはやっぱり双子ねーと言われるようになります。

わかめでも種苗(遺伝要因)と養殖場(環境要因)の違いが影響する特徴があります。これまで多くの研究が為されてきて、少しずつ要因がわかってきました。わかめの形(特に切れ込みの深さなど)は遺伝要因による影響が強いようです。昔は三陸わかめ(Undaria pinnatifida f. distans)は切れ込みが深く、日本海側、韓国、中国のわかめ(U. p. f. typica)は切れ込みが浅い形態と言われてきました。しかし、近年、生産性アップなどの理由による種苗の移動により、今では韓国でも中国でも、鳴門でも、三陸わかめに似た形態のわかめが多く見受けられます。バラツキもあり、遺伝だけが100%影響する訳ではありませんが、違った環境でもちゃんと親から受け継いだものは繋いでいるのですね。

一方、わかめの厚さ、色は環境要因、特に栄養状態に影響されるようです。3月の三陸で嵐が来て、海がかき回され、深い所に溜まっていた栄養塩が表層近くに舞い上げられると、1週間後くらいにはわかめの色が良くなる場合が多々あります。海の栄養を吸い取って、体細胞物質や色素(クロフィル)に変えているのでしょう。

最後にわかめの硬さ、コシも環境要因が強いようですが、栄養というより、波の激しさに大きく影響されるようです。リアス式海岸の三陸では内湾でも外洋でも大きなわかめの養殖は可能ですが、やはり内湾ものは軟らかいものが多いようです(人によっては軟らかいわかめが好きな人も多いのでどちらが良いとは言えませんが)。

人間もわかめも一緒ですが、親の七光りだけでは優秀な子には育たないし、ある程度厳しく育てないと逞しい人間にはならないということでしょうか。

第11話:なまこ と ほや

海の生き物(食べ物)の中でも好き嫌いの激しい2大巨頭は“ホヤ”と“ナマコ”でしょう。ナマコは日本中にいますし、韓国・中国にもいます。中華料理ではフカヒレ、干しアワビなどと並び、高級食材です。ホヤは三陸海岸で養殖されているものがほとんどですが、種類も多く、一応世界中に生息しています。ナマコとホヤは決して同じ仲間ではなく、ナマコはウニ・ヒトデと同じ棘皮動物(トゲのある仲間)という仲間で、ホヤは原索動物という無脊椎動物(背骨のない動物:どちらかといえば下等動物に入ります)のうちで最も進化の進んだ動物に分類されています。最も魚類に近く、イカ、タコよりも(形態学的に)進化が進んだ動物です。

日本ではナマコは赤、青、黒とありますが、どれも酢の物で食べるのが一般的です(赤ナマコが高価のようです)。中国では生で食べることはほとんどなく、乾燥品を戻したり、あるいは塩蔵品を塩抜きして煮たり、炒めたりして食べます。一方、ホヤは昔は3倍酢一辺倒でしたが、最近は燻製など酒肴品の開発も進んでいるようです。ワカメ、コンブの養殖は1年ものですが、ホヤは約3年かかります。

好きな人は目がなく、嫌いな人は一切れもダメ。どっちでもいいけどホヤやナマコからすれば迷惑な話ですけど。

第12話:魚介類の血液型占い

最近、血液型と人の性格判断やダイエット法など血液型に関する話題が多いですよね。血液だけではなく、生物の体内にはたくさんの酵素が働いており、同じ酵素でも血液型のようなA型、B型のような違いがあります(酵素型?)。魚や貝類でも当然酵素があり、酵素型により、性格が違うようです。

例えば魚はかなりAA型やBB型のような同じ型のもの(これをホモといいます)が多い傾向にあり、AB型のような違う型のもの(ヘテロといいます)の比率は非常に少ないのが通常です(AA型のサンマが堅実タイプでAB型のサンマが芸術家タイプと言っている訳ではありません)。それに対して貝類、特にカキやムール貝などの2枚貝(ちなみにアワビは巻貝です)はAB型のようなヘテロの比率が異常に高くなっています。

これはなぜか分かりませんが、一説では移動性のある魚は環境(水温など)が変化した場合、移動して自分にあった環境の場所に逃げられますが、移動性のない2枚貝類は遺伝子(違った型の酵素は違った遺伝子によって作られます)をいろいろな種類を持って、環境の変化に対応しているのかもしれないと言われています。なかなか賢いものですね。もしかすると、AB型の血液型のあなたは地元密着タイプかもしれませんね。

第13話:蝦夷(エゾ)

昔(といっても25年くらい前)に「海峡物語」という青函トンネルの映画があって、その中で主演の高倉健さんが「500万年前、本州と北海道は陸続きであった」というセリフがありました(たぶん)。地質学的にそうらしいのですが、生物学的にみてもそういう事が言えるそうです。

北海道には特有の動物が多い。獣でいえば、エゾシカ、ヒグマ、キタキツネ、海のもので言えばエゾアワビ、キタムラサキウニ(これらは今では東北地方でも養殖されてますが)。海は北海道も本州も繋がっているので、陸地がどうのというより水温に関する影響が大きいと思いますが、でも自由に行き来できる魚にはあまりエゾやキタがつくものが無く、歩行性の少ない貝類などでは比較的多いのは、何か関係あるのではないでしょうか。

これら動物は完全な種というより、亜種(種になる一歩手前とでもいいましょうか)のレベルのものが多い。だから混血が出来る場合と出来ない組み合わせもあります。これら亜種のレベルに進化(というより分化)するのには分子遺伝学的に言うと500万年くらいかかるそうです(といっても100万年前から1000万年前とあまりにも大きなバラツキはありますが)。今回はとっても壮大でとっても大雑把な話となってしまいました。

第14話:磯焼け

1、 磯焼けとは

「磯焼ケナナル称呼ハ素ト静岡県伊豆東岸ノ方言ナルガ現今一般ノ称呼トナレリ、此現象ヲ惹起セル海底ハ種々ノ海藻其跡ヲ絶チテ盤面白色又ハ黄色ニ変ジ唯ダ馬尾藻科ノ某種其他少数ノ海藻ノミ僅カニ点々トシテ残留スルノミ、随テ海藻群中ニ住セルえび、あはび等ハ共ニ其影ヲ潜メ抱卵ノ為ニ来ルトコロノ磯付魚類モ亦去テ其居ヲ他ニ求ム、其クシテ沿岸ノ漁利著シク減少ヲ来タス」(明治35年、東北帝国大学(現北海道大学)遠藤吉三郎博士)

(訳)伊豆半島東海岸の方言で古くからよく知られた現象で、この現象が起こった海底は一面白色あるいは黄色で海藻の生育は見られない。わずかにホンダワラ科の数種のみ点在する。アワビなどは見られず、本来卵を産むために集まる魚もいない。そのため、沿岸の漁業が成り立たなくなる。

ちょっとした海況(海流などの水温や栄養など)の変化によって、今までそこに生育していた海藻があっという間に消え、その後には無節サンゴモの白い岩肌が現れる。僅かに這い出した、ワカメやアラメの幼葉はすぐにウニに食べられてしまう。それが「磯焼け」です。それまであった海の森「海中林」は白い砂漠となり、海底のアウトロー、痩せたウニだけが新芽を食べ尽くす。荒涼とした海底です。

わずかな海藻のみが点在してます。無節サンゴモは表面を剥がして生育してゆくので、他の海藻が着生しても伸びないうちに剥がれてしまいます。ソゾやフクリンアミジという海藻の仲間はウニやアワビが嫌いな物質(テルペン類)を出して、摂食から防御しています(東北大学の谷口和也博士らの研究で明らかになりました)。

海の生産力、食物連鎖を断ち切ってしまう「磯焼け」をなくすため、いろいろな地区でアラメなどの多年海藻の移植実験、ウニの除去作業(磯焼けのウニは栄養失調でおいしくない)など必死の努力が為されています。「磯焼け」が形成される一因として、生活廃水、工場廃水、重油流出事故などによる人為的な海洋汚染もあるのではないかと考えられていますので、みんなで注意して、海をきれいにして、海を青い森に戻したいですね。

第15話:海割れ

韓国の西南部に天童よしみの“珍島物語”で一躍有名になった珍島があります。今は立派な橋が架かり、車で行ける島です。その南東部に有名な“海割れ”のヨンドがあります。もともと珍島は韓国ではわかめの一大産地で、たぶん今でも海割れ地区ではわかめが養殖されています。

海割れが起こる原因は皆様もご存知と思いますが、陸と島を結ぶある一線が線状に浅くなっていて、春の大潮の干潮時に海上に道筋のように姿を現すものです。さらに言えば韓国の西南部は黄海(中国の遼東半島や山東半島に囲まれた大きな湾)の出入り口にあたっているため、非常に干満の差が激しく、大潮時ですと5m近くも海面差がでます。その現象と地形がマッチした結果、“海割れ”が発生するのだと思います。今では日本からも観光客が押し寄せているそうですが、もともとは旧約聖書の“モーゼの十戒”から来ていることは歴史に詳しい人でなくてもちょっとした映画通ならご存知のはず。キリスト教でそれが伝説となり、フランス・ブルターニュのモン・サン・ミッシェルなど海割れがキリスト教徒を迫害から守ったという伝説(すみません、もしかすると真実かもしれません。現地見たことあるのですが、何せワタシ仏教徒なものですから)が伝えられ、比較的キリスト教徒の多い韓国でも自然現象を見た、キリスト教徒が伝説を伝えたものなのでしょう。

ひとつ付け加えさせて頂きますと、春の大潮と同じくらいの干満差が年にもう一度発生するのですが、見向きはあまりされません。それは秋にも同じく起きるのですが、春の場合は干潮がだいたい午前にきますが、秋の場合にはその逆で真夜中に来ます。秋の真夜中に珍島の海の上を歩いたらば、神様のご降臨と思われるか、あるいは幽霊に思われるか。それくらい海割れ現場は何もない所です(でした)。

第16話:とどのつまり

よく、最終的にはという意味で「とどのつまり」という言葉を使いますが、ここで出てくる「とど」は魚の名前です。決して、北海道にいる、海獣の「トド」ではありません。河口なんかでよく釣れる「ボラ」の名前が「とど」なのです。ボラは出世魚、つまり成長するに従い呼び名が変わる魚です。オボコ―スバシリ―イナ-ボラとなって最後が「トド」です。これが社長になっての名前なのか、われわれ平社員のままで図体ばかりがでかくなって、どうしようもない最後なのかは分かりませんが、このような出世魚は幾つかご存知だと思います。スズキはセイゴ―フッコ―スズキとなるし、ブリはイナダ―ハマチ(ワラサ)―ブリとなります(関西と関東など地方により呼び名は違うようですが)。さて、私たちとしてはどこまでが輝かしい「ボラ」で、どこからが窓際の「トド」なのか、という事。

辞典によれば、「イナ」は30cmくらいまで、「ボラ」が30cm以上となっています。とすれば「トド」は…というと、特に大きさの基準はないようです。すなわち「トド」は功成し遂げての名誉会長というところでしょうか。でも魚には成長の限界はないそうなので、「とどのつまり」はまだまだ先と思う方々も大勢いらっしゃるでしょうから、皆頑張ってゆきましょう。

第17話:鮭と鱒(1)

日本の代表的な魚にサケ(鮭)とマス(鱒)があります。どちらも何となく形が似ていて、赤い切り身でスーパーに並んでいます。サケにも色々な種がいまして、我々が良く食べているのがシロサケとベニサケです。日本でサケと言われたならまずシロサケが筆頭にきます。シロサケは北海道から九州までの川に上る(遡上)比較的生息域の広いサケです。紅鮭は稚魚になってから淡水で約1年間育ってから、海へ下ります。だから川の上流に湖のある河川しか遡上しないので、北海道の河川(湖が多い)に紅鮭が遡上するのです。

さて一方、鱒と言えば、春に取れるマス(サクラマス)が一般的です。鮭に比べやや小ぶりで値段が安いのが鱒と思っている人も多いし、一方、マスはニジマスの仲間でサケはベニザケの仲間と考える人もいると思います。しかし、サクラマス、シロサケ、ベニザケはサケの仲間でニジマスは本当のマスの仲間になっています。だってニジマスは身が白身、サクラマス(マス)はサケと同じピンク色の身ですよね。

では一般的な“サケ”と“マス”はどこで分けているのでしょうか?

答えは“体の大きさ”です。日本では一般的に体の大きなものをサケ、比較的小さいものを“マス”と呼んでいます。ベニサケが湖から出なくなり、一生湖に暮らすものもいますが、それがヒメマス(十和田湖での養殖が有名)と“マス”の仲間になってしまいます。マスは肩身が狭く、小さくなっていなくてはならないのかも。まさに“マスオ”さん人生ですね。

第18話:鮭と鱒(2)

鮭といえば秋の風物誌ですが、春に獲れる鮭を知っていますか? “時シラズ”あるいは“時サケ”と呼ばれているのですが、何らかの原因で体内時計が狂ってしまい、帰ってきてしまったのでしょうね。この時サケ、味は絶品。秋に帰ってくるサケは川に近づくに釣れ、成熟し、体内の脂肪などエネルギーを産卵に向けるため、肉質がパサパサしてきます。しかし春に来るサケはまったく成熟しませんし、春は日本北部海域は栄養タップリですので、肌は銀ピカ、肉はトロのようです。私も昔一回、時サケ一匹をもらって食べたのですが、それまで食べた魚の中で最もおいしいものでした。

大量に時間を間違えるものではないので、残念ながら最近はその味に出会えませんが、もしみなさんも時サケを見かけたらぜひ一度ご賞味ください。

一方、マスにおいても味のバトルがあります。鱒は基本的に春に帰ってきます(一般の“マス”と呼ばれているもので、北海道で獲れる“カラフトマス(ピンクサーモン)”は秋に帰ってきます)。同じ鱒(サクラマス)でも品種レベルで違い、ま鱒、大目鱒などがあり、味もかなり異なるようです。

第19話:「もずく」か「もづく」か

最近、めかぶとともに海藻惣菜として2大商品となった味付けもずく。正式には大部分がオキナワモズク(通称太モズク)といい、その名の通り、国内産の95%以上が沖縄県で養殖されています。国内ではそのほかの5%未満が鹿児島県(主として奄美大島地方)が産地ですが、アマミモズクとは言いません。

さて、このもずく(あるいはオキナワモズク)は「もずく」が正しいのでしょうか、「もづく」が正しいのでしょうか?この論争に以前より鹿児島県と沖縄県の対立が見られました。量的に劣勢な鹿児島県はこの海藻は他の「藻」に付着して生長することも多いので「藻につく」→「藻づく」→「モヅク」との正当なる見解を示しました。それに対し、量的に圧倒的有利に立っている沖縄県は「今日本中でほとんどは“もずく”で売られ、国民のほとんどが「もずく」と認知している」とまたこれも正論を展開しておりました。私としては「もずく」でも「もづく」でもおいしければそれでいいのですが。

さてこの「もずく(一応私も一般大衆ですので、多数決でいきます)」オキナワモズクのほかに「モズク」「イシモズク」の3種が知られています。「モズク」は「細モズク」あるいは「糸モズク」の名で知られ、最近はスーパーでも目にするようになりました(養殖もされております)。「イシモズク」は能登半島沿岸などで採取され天然だけで、糸モズクより更に細く、繊細な味で高級料亭などでしか味わえないそうです。そのほか、秋田県男鹿半島などに非常に近い海藻で「クロモ」というものがあり、これも非常に繊細な味、喉越しです。モズクと呼ばれるは一般に細いほど高価です。われわれ庶民の味方、オキナワモズクは今年大高騰しましたのがとても残念です。

第20話:かまぼことかば焼きについて考える

かまぼこは漢字で書きますと「蒲鉾」となります。小田原名産の白身の魚やサメの身を用いて、板の上に乗ったものなどがあります。また、鯛の形をした縁起ものや、宮城県のお土産で有名な笹かまぼこ、小田原のかまぼこなど各地に名産品がありますね。もともとは「かば」=「がまのほ」が訛って、「蒲鉾」になったと言われております。いまではあまり見なくなりましたが、川原に湿地に生えている「ガマノホ」の頭の形は「カマボコ」というより「竹輪(ちくわ)」に似てますよね。たぶん昔はちくわをカマボコと呼んでいたのでしょう。原料は同じ白身魚の練り品を焼いて作った、竹輪や笹かま、蒸しにした板かま。進化の経路が繋がるのかもしれません。そう言えば、かまぼこよりもっとフワっとしたおでん種の「ハンペン」は「ちくわぶ」とも言いますね。かたちは竹輪というより板カマに誓いのですが、なにゆえ「竹輪ぶ」なのでしょう。進化系というより相関図ができるかもしれませんね。

一方、近頃はほとんど輸入品となってしか我々の口に入らない、「うなぎの蒲焼」。これはその名の通り、「蒲=ガマノホ」の形と蒲焼の形(昔は鰻をブツきりにして串に刺して焼いたそうな)がそっくりという事でその名がつきました。こちらは名前も形もぴったりで納得が行きます。

でもなぜ、魚それも海さかなの加工品は蒲=ガマノホに近いものを作ったのでしょう。もしかしたら、昔から鰻はなかなか手にはいらない希少品で、カマボコはその鰻の蒲焼のコピーを作ろうとして始まったのではないでしょうか。勝手な想像で何の根拠もありませんが。

第21話:海藻学の先駆者たち(その1) 岡村金太郎博士

日本の海藻の学問の話をする時、海藻を学ぶ者なら誰でもがまず一番に名前を挙げるのが岡村金太郎博士であることは間違いない。日本の近代海藻学の祖であり、父である。

岡村博士は明治維新の年(1867年)、東京(江戸?)に生まれ、東京大学をを出た後、東京水産講習所(後、東京水産大学、現、東京海洋大学)で研究をなされました。その著書「日本海藻図譜」は日本の近代海藻学の起源とも言えるもので、また「日本海藻誌」は現在でも海藻分類のバイブルとも言える大著です。

特に、岡村博士は褐藻に関する研究に詳しく、コンブ、ワカメ類やヒジキ、ホンダワラ類などを詳細に分類しています。例えば、ワカメの仲間である、ヒロメやアオワカメは興村博士が分類、命名したものです。後の分類学者も日本のこの大博士に尊敬の念をこめ、新種として発見されたものに、岡村博士の名前を学名に記した海藻もあります(例:オキナワモズクは学名を Cladosiphon okamuranus と言い、時田博士が命名しました)

第22話:海藻学の先駆者たち(その2) シーボルト

江戸時代のドイツの医者シーボルトと言えば、歴史の教科書でも名前は必ず載っていますので、知っている人も多いでしょう。ではシーボルトって何をやった人かご存知ですか?長崎、出島のオランダ商館の医者で色々な人に医学や蘭学を教え、帰る際に日本地図を貰ったため、贈った日本人が多数処分されたことは教科書に載っています。

そのほかにシーボルトは日本の動植物をヨーロッパに紹介した人です。特に長崎という土地の為か、魚介類についての詳細なスケッチを残しました。恐らく、日本の海藻をヨーロッパに紹介した最初の人ではないかと思います。ヨーロッパには生息しない様々な海藻、例えばワカメなども長崎付近にも生えてますから、紹介したのではないでしょうか。

そういえば、ワカメは日本付近の固有種なのに、学名を命名したのは日本人ではなく、欧米人なのです。多分シーボルト先生の著書に興味を持った学者が調査したのでしょうね。

第23話:海藻学の先駆者たち(その3) Drew女史

板海苔を食べたことがない日本人はほとんどいないと思います。お寿司、おにぎり、磯辺巻と日本人と海苔は切っても切れない間柄ですが、皆さんは海苔の胞子からどのように生長していくかご存知ですか?

海苔(日本では基本的にスサビノリやアサクサノリなどのアマノリ類)は他の海藻と同じく胞子(四分胞子と果胞子の2種あります)で増えます。胞子がその後、どこに生息し、葉体となるかは長い間謎でした。それを発見したのが、イギリスの海藻学者Drew博士です。海苔の胞子はその後、カキ(牡蠣)の殻の中に穿孔(潜り込む)し、糸状体になり夏を越します。皆さんはあの薄っぺらな海苔の子供が固いカキ殻に潜っていくなど、想像もつかないでしょう。その想像もつかないことも研究したDrew女史の功績はすごいと言わざるを得ません。

Drew博士の研究の成果により、海苔の種苗の保存・人工採苗が可能になり、現在の日本、韓国、中国などの海苔養殖が大きく広がり、我々日本人はおいしく、安い海苔を食べることが出来るようになったという訳です。

第24話:海の栄養

世界中の海で億万の生物が生物の営みを行っています。その栄養(食べ物)はどこからくるのでしょう?

最近よく、海の生き物と森の関係が話題になります。牡蠣と森林、鮭と熊と森林。生物(植物・動物)の死骸が腐敗、分解され、栄養となって、海へと渡っていきます。

海の栄養とは何でしょう?畑と同じく、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)が肥料の三大成分ですが、生物の生育にかかわるものは何といっても窒素分です。窒素が他の要素と結合し、アミノ酸→たんぱく質となり体を作ってゆきます。植物では光合成により二酸化炭素から炭素源が供給されますので、炭素は十分にありますので、窒素があればたくさんのタンパク質を作る事ができます。植物では筋肉はないので何にタンパク質が使われるのでしょう?

まず、植物でも様々な働きをする酵素はタンパク質から出来ています。また、わかめの鮮やかな色もタンパク質から出来る色素のおかげです。

ワカメで言わせて頂ければ、栄養が関わるワカメの品質は厚さ、大きさ、色です。特に色などは貧栄養から富栄養に転換してから一週間もすると、十分に回復します。ワカメの産地である、三陸、韓国、中国を比較すると、収穫時期には圧倒的に三陸の栄養が高くなっています。

一方、海藻が大きく生育するのと同時に栄養が高くなるために、三陸沿岸に植物プランクトンが春先に大発生します。その植物プランクトンを食べに動物プランクトンや様々な小魚が集まり、大きな魚が集まります。その中の鮭やうなぎはそれらの栄養を持って、森へ帰って(成長しに)ゆきます。海の栄養も森の栄養も大きなリサイクルなのです。

第25話:昔の不思議ないきもの達(1):笑い話として聞いてください

江戸時代(1700年ごろ)の寺島良安という人が書いた書物に「和漢三才図会」というものがあります。この本は中国の王圻という人が書いた図解辞典「三才図会」を元に日本と中国の百科事典という趣きのあるものです。全105巻の膨大なもので、その中からなかなか笑えるもので海に関するものを幾つか、数回に亘り、ご紹介します。まずは亀と蟹。

ファイル1:和尚魚:中国語では「ホウシャンイユイ」。体はスッポンに似ており、色は紅赤色。潮汐に乗ってやってくる。と中国では言われている(当時)。大きさは1.5~2.0mで人面亀で、頭には毛髪はないのであろう。通常、網に掛かることはないが、漁師はこの亀を非常に忌み嫌う。たまに捕まり殺そうとすると、両手を胸の前に組み、涙を流して救いを乞う様子をする。それで「助けてやるから今後漁の邪魔をするなよ」と言うと、西に向かい、天を仰ぐ仕草をする。これは了解の印だそうな。日本では「海坊主」と呼ばれるのがこの和尚魚であろう。

ファイル2:鬼蟹(通称、武文蟹、小さいものは島村蟹と言う)。カブトガニ(甲蟹)の小さいものを鬼蟹と言うらしい。何故、武文さんや島村さんの名前が付いたかというと。
元弘の乱(1331~1333:南北朝動乱の時)の時、秦武文(はたのたけぶん)という武将が明石の海で戦死したので、明石辺りのカブトガニを武文蟹というらしい。また、1531年、時の管領、細川高国の家臣、島村某は三好氏との戦いで、敵の二人を脇に抱え尼崎の海に没した。それで尼崎辺りではカブトガニを島村蟹というらしい。甲羅の文様が鬼の顔に似ているので、鬼蟹というらしいので、この二人の武将とも相当怖い顔だったのでしょうね。

第26話:昔の不思議ないきもの達(2):笑い話として聞いてください

今回、2回目は魚編です。

ファイル3:魚虎。これで「しゃちほこ」と読むそうです。中国語では「イユイフウ」。この魚は南海に生息しており、頭は虎、背の皮はハリネズミ。棘(トゲ)があって、刺されると蛇に咬まれたようになる(具体的に蛇にかまれたことが無いのでどうなるか良く分かりませんが)。大きさは2mくらいで、老ブリに似ている。色は赤黒色、水を離れると黄黒に白斑が出る。世間の言い伝えとして「鯨はイワシや小魚を食べるが、大きな魚は食べないという約束事があり、魚虎は鯨の口元に常にいて、これを見守っている。もし、鯨が大魚を食べようとすると、すぐに鯨の口の中に入って鯨の舌の根を噛み切って、鯨を死に至らしめる」というのがある。

ファイル4:人魚。中国では上半身が婦人、下半身が魚というものを見たという、記録が幾つかあります。日本でも聖徳太子の時代、摂津(今の大阪府)の堀江で網に掛かったという記述(日本紀)があります。頭や顔は婦人で、下は魚の体。粗い鱗は鯉のようで、ヒレを持っているという。暴風雨の前に姿を見せる場合が多く、漁師は気味悪がって捕まえないそうだ。オランダでは人魚の骨を解毒薬としており、すばらしい効き目があるそうだ。また、人魚の骨で腰に付ける器物を作っているという(アンデルセンの人魚姫とは趣きが異なるけど)。

第27話:昔の不思議ないきもの達(3):笑い話として聞いてください

今回は不思議な生き物ではなく、同じく「和漢三才図会」からウンチク(真偽の程は別として)を幾つか。

・サンショウウオ(山椒魚)はその名の通り、山椒の香りがする。その膏(あぶら)は燃やしても減らないという。肉は甘いが毒がある。

・ウナギは産卵場所が良く分からないので明神様の使いと言われた地区がある。蒲焼はとても美味しいが、食べ過ぎると胃酸などで膨張し、煩悶して死ぬことがある。

・鯨の糞(見たことないが)には黒と白の2種類がある。白いものは稀で、水上に浮かぶと白泡のようである。これを採取して晒し干しにすると蛇の骨に似、焼いていぶすと痘瘡の痕を治すのに効果がある。

・ナマコの味は今ひとつと思われていたが、珍味として中国でも食されていた。中国の北方人は驢馬のチン○でこのナマコの偽者を作ると言う。味は同じだそうである。

・ゴリ(カジカに似た川魚、ゴリエではありません)の胆のうは春夏には上のほうにあり、秋冬には下のほうにある。夏秋に人が群集して餌を握り、水をすくって「吾里」と呼ぶと手のひらに入ってくる。

第28話:イルカ

曲芸でおなじみ、イルカといえば、非常に賢い水中の哺乳類で、水族館ではおなじみになっていますが、イルカもいろいろいるんですよ。

イルカには大きく分けて2種類あります。英語で言うとよく分かるのですが口ばしの比較的尖っているのが、「フリッパー」。

40歳台以上ならば「わんぱくフリッパー」を思い出すでしょう。比較的口ばしの短いのが「ドルフィン」。Skin Diving クラブにありがちな名前ですが、いずれも高度に発達した脳を持ち、かつ人間にまったく危害を加えず、愛くるしい姿から、同じ仲間のシャチなどに比べて、非常に人間受けの良い動物ですよね。イルカは「海豚」と書きますが、中国揚子江には「ヨウスコウカワイルカ」という淡水のイルカがいます。

イルカには動くものに恐れを抱かず、逆に遊び相手と思うような習性があるようです。以前、瀬戸内海で船に乗っていると、船の両舷をイルカが数匹(数頭?)一緒になって泳ぐのに遭遇したことがあります。今、沖縄のリゾートホテルではイルカと遊んで、精神的な病気(ひきこもりなど)を直すのをうたい文句にしているところもあります。「イルカロジー」とでもいうのでしょうか?

イルカと鯨、何処で見分けるかという質問がよくあります。おおきいのが鯨、小さいのがイルカ、と覚えておけば間違いはありません。

第29話:海馬

「海馬」って何の動物か分かりますか?答えは2つあります。

普通はイルカかシャチのように水族館のプールでロデオのように背中にまたがって泳ぐのを想像する人が多いでしょう。でも全然違うんですよ。

答えその(1):「海馬」はタツノオトシゴのこと。水族館の水槽で一度は見たことがあるでしょう。奇妙な形をしてますが、れっきとした魚の仲間です。英語Sea Horseの訳から来ています。またその顔の様子からSea Dragonとも呼ばれています。オスが卵を育てるので有名です。メスが産卵した卵が輸卵管を通し、オスの育児嚢へ送られ、そこで孵化し、幼魚も育ちます。そのため、オスが妊娠するようにも見えますが、妊娠はあくまで女性のもの。肉食性で、おちょぼ口の割に結構、獰猛です。

答えその(2):「海馬」:動物とは言えないのですが、人間の脳の一部に「海馬」という神経組織があります。記憶を作る組織と考えられ、得られた記憶が一度ここに入り整理されてから、大脳へ送られ、保管されると考えられています。形がバナナのようで、ギリシャ神話の海の神(ポセイドン)が乗る「海馬」(想像上の馬)の尻尾の形に似ていることから、この名前が付いたと言われています。

想像した答えとはかなりかけ離れていたと思いますが、いかがでしたか?

第30話:昔の海藻図鑑

昭和9年(1934年)に発行された海藻図鑑を手に入れることが出来ました。昭和9年といえば、日本が軍国化が進んで行った頃です。著者は水産講習所(後の東京水産大学=現東京海洋大学)教授の東道太郎教授です(すみませんあまり詳しく知りません)。題名の「原色日本海藻図譜」というようにカラーの写真(?)と種の説明がされています。価格は2円20銭。現在のお金でどれくらいかは皆さん調べてみてください。その中から1つ海藻の説明を。やはり「わかめ」でしょうか。

わかめの学名は今と同じUndaria pinnatifidaです。でも最盛期が夏に収穫となっています。えっと思ったのですが、昭和9年にはまだわかめの養殖法が無かったので、全部天然わかめのことを言っていたんですね。九州から北海道西岸に至るほぼ日本全域と朝鮮にも分布していることが書かれています。「わかめ」と「なんぶわかめ」があり、芽株は布株と呼ばれていたようです。加工法も塩干し、湯抜き品、塩抜き品があったようです。葉はいろいろ食用にし、茎は粕漬、味噌漬として、めかぶはすりおろして、「とろろめかぶ」にしたようです。その頃は三陸よりも鳴門わかめのほうが有名だったようです。